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学習会
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第20回 「ケニア・アフリカで働くということ」

講演日:2005年5月27日

講演者:佐藤芳之氏(ケニア・ナッツ)

今回講演者としてお招きした佐藤芳之さんが初めてアフリカに足を踏み入れた1960年代では、アフリカはまだ日本から「ものすごく遠い」存在でした。 
そんな中、佐藤さんはケニア・トーレ・ミルズという合弁会社で五年間働いた後、自らケニア・ナッツという会社を立ち上げ、「ビジネス」という視点で40年以上もの間ケニア・アフリカと関わってきました。 
自らの経験を通して学んだケニア・アフリカで働く上でのコツや苦しみを、分かりやすく説明して頂きました。

●「当たり前のことをやる」 
どんな他国でビジネスを行う時でも、思想や姿勢が多少異なるのは当然であり、その国のテンポ、やり方に合わせなければ必ず失敗に終わってしまう。 
そのため、どんなに良心的で良い経営方針を行っていたとしても、日本的な「ブランド」意識を無理の押し通しては、「自分達よりいい思いをしているんではないか?」、「今日本人が働いているポストに就けば、自分も楽になるのではないか?」という人種意識や経営者に対する疑問が生じてしまう。 
そうした問題が実際に起き、経営が成り立たなくなっていく会社を1960年代のケニアで見てきた。 
そのことから、「当たり前のこと=ケニアの人々のやり方」ということを前提に、忍耐力を持って、ケニア人にあった経営方法を行うように心がけてきた。

●「フェアトレード」とは何か。 
昨今、フェアトレードについての話題が増えてきている。 
定義は様々だが、基本的には「今まで搾取されてきた途上国の人々に公正な機会を与える」こと。 
アフリカの国々と貿易交渉を行う時、「アフリカでビジネスを行っている=搾取している」という目で見られることが多く、「あなたのビジネスはフェアトレードですか?」と度々聞かれる。そのため、他国に比べて国際市場に出るまでの規制や諸条件が非常に厳しくなっている。 
一方、先進国では、過剰な労働で過労死をしていく人がいたとしても、貿易取引が平然と行われている。 
果たして、この状況はフェアなのであろうか? 
「フェアトレード」という流行りの言葉に頼るよりも、「生産者」、「流通者」、「消費者」の三者の関係が偏らない状態の中で「利益追求」を行うことこそが「良い企業」であり、フェアなビジネスを行って行く条件である。 
又、これには地元に根付いた企業インフラを充実させることが重要であり、それを順序立てて行うことによって、良い関係でビジネスを行うことができる。

●文化と文明~様々な見方~ 
ケニアで働く中で、佐藤さん自身が次第にひっかかるようになってきたキーワードについても話して頂きました。

・「文化」と「文明」の違いは何か? 
文明=物・全体・普遍、文化=心・個々・地域、等様々な意見が出された。 
フランスは文化でアフリカ大陸を攻め、未だにきれいなフランス語が各地で話されている。 
一方、制度で攻めたイギリス旧植民地は統一された英語ではなく、各々の英語の話し方を見つけたて話している。 
「物」を通して「心」を知る、つまり「文明」を通して「文化」を知る必要性がいつも感じられる。

・事実と真実(Fact & Truth)の違いは何か? 
複雑に絡んでいるビジネスの世界では、「事実」と「真実」はどっちもなければ、どっちもある。 
その二つの関係を巧みに見分けなければならない。

・PublicとPrivateの利害関係。 
ビジネスを行う時、利害関係は非常に重要になってくる。特に異国でのビジネスを行う場合、Publicのみを見ても、「どういうPublicを対象にするのか?日本的?ヨーロッパ的?ケニア的?アフリカ的?」ということを考えなければならない。 
又、企業としてのPublicな活動とPrivateの活動を明確にしなければならないと同時に、自分にとってビジネス以外の価値を見つけてこそ、ビジネスにおける価値もみつけられる。

以上のような、多数の視点から話して頂き、参加者は各々に刺激を得ることができました。 
アフリカでやっていく条件の一つとして、「何でも相談できるパートナーの存在」についても語ってくれましたが、学習会当日に参加して下さいました佐藤さんの奥様や娘さんがそのことを証明しているようにも思われました。

自分がどうアフリカ、又は個々の国々と関わることになるとしても、他の価値観を受け入れる心のゆとり、成果や理解ができるまで待つことのできる忍耐力、そして精神的・肉体的な「元気」が必要であるということは、それぞれに実感できたと思います。